唐梨の木
Since 2006.12.12
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ながれゆくもの
「なあ、楓ばばあ」
「ん?なんじゃい」
「おれも、変わらなきゃなんねえのかな・・・」
「・・・犬夜叉?」
「・・・・・・」
「そうだな。生きとし生けるものすべてに、等しく時は流れる。絶えず変わりゆくのが、この世の理だ。だがな、変わることすべてが悪いものばかりでない。それはおまえが一番分かっておるじゃろう?」
「・・・あぁ。だけど、人は忘れる」
「そうだな」
「おれは、忘れたくない。忘れられるはずない」
「そうか」
そう言って遠くを見つめる半妖の少年を隻眼の老巫女は、静かに見つめた。彼女が知っていた少年はこんな寂しげな瞳の色をしていなかった。変わりに荒みきった、哀しい目をしていた。
等しく時は流れ行くもの。この少年の瞳に再び光が宿ることを願いながら、そっと目を伏せた。
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