唐梨の木
Since 2006.12.12
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
息が白い
風が冷たい
だけど、あなたの隣はとても、
暖かい・・・
+*+☆*+*☆+*+☆*+*☆+*+
「はぁ~」
冷たくなった手のひらの中に息を吹き込む。
一瞬だけ、暖かく感じた。
「何?お前、手袋してねえの?」
そんな私を見て、右隣からあきれたように言われた。
一応、私の彼氏。
顔はそんなに悪くないのに、この目付きと口の悪さで
結構、損をしていると思う(でも、私は好き)
実は子供っぽいんだな、これが。
実は子供っぽいんだな、これが。
やきもち焼きで、わがままで、意地っ張りで、
だけど寂しがりだったり(私にだけかな?だといいな)
「今日、手袋忘れちゃって・・・」
失敗したと言いながら笑ってみせる。
見れば、寒さのせいで冷たい癖に赤い。
そんな私の手を見て、彼は呆れたように笑う。
「しょうがねえ、おれの片方貸してやる。」
そう言うと左の手袋をはずして、私に差し出した。
「えー?片方だけ?」
「えー?片方だけ?」
「けち~」と言いながらも、素直に受け取る。
彼の時々見せる優しさを抗うことはしない。
だって、貴重なんだもの。
私のより、シンプルなデザイン。
はめるとひと回りほど大きかった。
あぁ、男の子なんだなと、こんなことで思う。
さっきまで、はめていたせいで暖かい。
「してない方はこうすりゃ、あったかいだろ。」
と、私の右手が大きな手のひらに握られた。
「え、」と顔を見れば、耳まで赤い君の顔。
決して、寒さのせいだけではないだろう。
普段はこんなことしないくせに。
人通りの少ない所だからだろうか。
私もきっと顔、赤いだろうな。
さっきまでのおしゃべりは無くなってしまったけど、
私たちはいつもより、少しだけ近くにいた。
私の手の冷たさが、彼の手の暖かさが、
混ざり合って、心地いい。
「また、手袋忘れようかな。」
「ばーか。今回だけだ。」
この記事へのトラックバック
トラックバックURL: