唐梨の木
Since 2006.12.12
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思い詰めたような犬夜叉の表情は迫り来る夕闇と、俯いてしまったせいで、見えなくなってしまった。ちゃんと説明をしなければと口を開いたとき、犬夜叉が顔を上げた。
かごめはその表情にぞくりと皮膚が粟立つのを感じた。その目はかごめの見たことの無いものだった。
いつもは金粉を蒔いたような輝きが、今はそれがまるで業火に舞う火の粉のように激しさと熱を秘めていた。
初めて目の当たりにする「男」という生き物を前にかごめは本能的に恐怖した。
しかしその視線を受けたのは刹那の出来事だった。次の瞬間には、犬夜叉の頭がかごめの首筋に埋められていた。
ちくり、と刺すような痛みを感じ、かごめは寸の間何が起きたのか理解出来なかった。体が硬直したまま、無意識にかごめはただ見慣れた自分の部屋の天井を、雪原越しに見つめていた。
だが、その痛みが犬夜叉によってもたらされたものであると理解すると、初めて感じる恐怖にも似た衝動にとっさに声が出た。
「・・・ッ、嫌!やめて!!」
体を捻り、抵抗するとすんなりと犬夜叉は体を離した。
初めていつもの、半妖であるはずの犬夜叉を怖いと感じたことに、かごめは僅かにショックを受けながらも、解放された手を胸元に引き寄せて犬夜叉を見つめた。
犬夜叉は呆然としたような顔を見せたが、我に返ったように一度かごめを見たあと、視線を下げるとすぐに眉間に皺を寄せて視線を逸らしてしまった。
階間見たその瞳が揺れていた気がして、かごめはなぜかさっきまで感じていた恐怖とは別の不安が胸を過ぎる。
「・・・すまねえ」
そう言うと犬夜叉は身を起こし、ベッドから降りた。そのまま窓の方へ向かう犬夜叉の背中を止めようと、とっさにかごめも上体を起こした。
「お前、今日はもう戻ってくるな」
「え・・・?」
振り向かないままそう言う犬夜叉の背中は、かごめを拒絶していた。薄闇に包まれた部屋に僅かに残った夕日を浴びた犬夜叉が陰影を濃くして立っている。その表情はかごめからは窺い知ることが出来なかった。しかし、犬夜叉を一人にしてはいけない、そんな気がした。
今犬夜叉と別れたら、2人の距離が離れてしまうような、犬夜叉が遠くなるような気がした。
「待って!」
窓に手を掛けた瞬間、とっさにかごめは犬夜叉の背中に縋っていた。
犬夜叉が息を呑んだのが、背中越しに伝わる。
「あのね、違うの!北条君はそんなんじゃ無いの」
犬夜叉が行ってしまわないようしっかりと火鼠の衣を掴んで、額を背中に押しつけた。
犬夜叉は誤解している。きっと、説明されたバレンタインのチョコの意味は簡単な物だったはずだ。それは間違っていないし、本来の趣旨である。
あとがき
ここまでお付き合いくださりありがとうございましたm(_ _)m
なんとか、胴体着陸ですが書ききることが出来ました。なんだか、中途半端感は否めませんが・・・アセアセ...A=´、`=)ゞ
こんな長い話を書いたのは実は初めてで、全話かごめ視点で統一させるべきだったのでしょうが、力不足で途中犬夜叉視点が混じってます。
「はじめに」で書いておくべきでしたが、原作の時系列無視です。
2月14日って、かごめにとってはいろんな意味で決戦直前だったわけで、こんなことしてる余裕なんてないですものね。これがあるから、夏祭り以外のイベント事って犬かごはやりいくいです。こういうのが嫌いな人もいると思うので。
私も以前はそうでしたけど、なんか気にしなくなったら平気になりました(゚▽゚*)
二次創作のパラレルなので、深いことは考えないということで、お願いします。
あ、ちなみに犬いチョコレートはダメって言うのは本当です。
チョコレートに含まれているテオブロミンという成分が危険で、犬の体重1kgあたりの致死量250~500mgといわれ、だいたい製菓用チョコレート20~40gくらいです。
でもまあ、板チョコ1枚がだいたい60gくらいなので、致死量のチョコレートを一遍に食べるのは大変ですが。
犬夜叉は半分人間ですし、体重が60kgだとして、単純計算した致死量のチョコレートって約1.2kgになるのでそんな心配ないのではないでしょうか。
あとは本人の好みの問題ってことで(・ω・)b
では、ここまで読んでくださってありがとうございました。良いバレンタインを~\(o⌒∇⌒o)/
かごめはその表情にぞくりと皮膚が粟立つのを感じた。その目はかごめの見たことの無いものだった。
いつもは金粉を蒔いたような輝きが、今はそれがまるで業火に舞う火の粉のように激しさと熱を秘めていた。
初めて目の当たりにする「男」という生き物を前にかごめは本能的に恐怖した。
しかしその視線を受けたのは刹那の出来事だった。次の瞬間には、犬夜叉の頭がかごめの首筋に埋められていた。
ちくり、と刺すような痛みを感じ、かごめは寸の間何が起きたのか理解出来なかった。体が硬直したまま、無意識にかごめはただ見慣れた自分の部屋の天井を、雪原越しに見つめていた。
だが、その痛みが犬夜叉によってもたらされたものであると理解すると、初めて感じる恐怖にも似た衝動にとっさに声が出た。
「・・・ッ、嫌!やめて!!」
体を捻り、抵抗するとすんなりと犬夜叉は体を離した。
初めていつもの、半妖であるはずの犬夜叉を怖いと感じたことに、かごめは僅かにショックを受けながらも、解放された手を胸元に引き寄せて犬夜叉を見つめた。
犬夜叉は呆然としたような顔を見せたが、我に返ったように一度かごめを見たあと、視線を下げるとすぐに眉間に皺を寄せて視線を逸らしてしまった。
階間見たその瞳が揺れていた気がして、かごめはなぜかさっきまで感じていた恐怖とは別の不安が胸を過ぎる。
「・・・すまねえ」
そう言うと犬夜叉は身を起こし、ベッドから降りた。そのまま窓の方へ向かう犬夜叉の背中を止めようと、とっさにかごめも上体を起こした。
「お前、今日はもう戻ってくるな」
「え・・・?」
振り向かないままそう言う犬夜叉の背中は、かごめを拒絶していた。薄闇に包まれた部屋に僅かに残った夕日を浴びた犬夜叉が陰影を濃くして立っている。その表情はかごめからは窺い知ることが出来なかった。しかし、犬夜叉を一人にしてはいけない、そんな気がした。
今犬夜叉と別れたら、2人の距離が離れてしまうような、犬夜叉が遠くなるような気がした。
「待って!」
窓に手を掛けた瞬間、とっさにかごめは犬夜叉の背中に縋っていた。
犬夜叉が息を呑んだのが、背中越しに伝わる。
「あのね、違うの!北条君はそんなんじゃ無いの」
犬夜叉が行ってしまわないようしっかりと火鼠の衣を掴んで、額を背中に押しつけた。
犬夜叉は誤解している。きっと、説明されたバレンタインのチョコの意味は簡単な物だったはずだ。それは間違っていないし、本来の趣旨である。
「好き」の気持ちを伝える。
それが、シンプルだけど一番大切なこと。
そのはずなのに、違う物が混ざってしまった。それも決して不純な物ではないけれど、犬夜叉が「知っている」意味の 中には含まれていない。
だから、この単純で純粋な傷つき易い少年に、少しでも自分の思いが伝わってほしかった。
「わたしが学校休みがちだから、いつも心配してくれて、今日も買い物で偶々会って、荷物持ってくれたの。あの時渡したチョコはそのお礼なの・・・」
どう言えば犬夜叉に伝わるのか、どうすればこの気持ちが届くのか分からなかった。早鐘を打つ心臓が煩いくらいに頭に響く。
「・・・だから、私の本命の、ちゃんとしたバレンタインチョコはまだ、渡してないの」
犬夜叉が振り返るのが分かり、かごめも顔を上げる。
「・・・受け取って、くれる?」
信じられないという顔をした犬夜叉が、かごめを見下ろす。その視線をしっかりと受け止め、緊張と羞恥で赤くなっている顔に精一杯の笑顔を乗せた。
「私は、犬夜叉が好きだよ」
*:..。o○☆ *:..。o○☆ *:..。o○☆ *:..。o○☆ *:..。o○☆ *:..。o○☆*:..。o○☆ *:..。o○☆ *:..。o○☆
あとがき
ここまでお付き合いくださりありがとうございましたm(_ _)m
なんとか、胴体着陸ですが書ききることが出来ました。なんだか、中途半端感は否めませんが・・・アセアセ...A=´、`=)ゞ
こんな長い話を書いたのは実は初めてで、全話かごめ視点で統一させるべきだったのでしょうが、力不足で途中犬夜叉視点が混じってます。
「はじめに」で書いておくべきでしたが、原作の時系列無視です。
2月14日って、かごめにとってはいろんな意味で決戦直前だったわけで、こんなことしてる余裕なんてないですものね。これがあるから、夏祭り以外のイベント事って犬かごはやりいくいです。こういうのが嫌いな人もいると思うので。
私も以前はそうでしたけど、なんか気にしなくなったら平気になりました(゚▽゚*)
二次創作のパラレルなので、深いことは考えないということで、お願いします。
あ、ちなみに犬いチョコレートはダメって言うのは本当です。
チョコレートに含まれているテオブロミンという成分が危険で、犬の体重1kgあたりの致死量250~500mgといわれ、だいたい製菓用チョコレート20~40gくらいです。
でもまあ、板チョコ1枚がだいたい60gくらいなので、致死量のチョコレートを一遍に食べるのは大変ですが。
犬夜叉は半分人間ですし、体重が60kgだとして、単純計算した致死量のチョコレートって約1.2kgになるのでそんな心配ないのではないでしょうか。
あとは本人の好みの問題ってことで(・ω・)b
では、ここまで読んでくださってありがとうございました。良いバレンタインを~\(o⌒∇⌒o)/